2024年4月より、中小企業向けの省力化投資補助金の公募が開始されました。
この補助金制度は、経営基盤の強化や新たな事業展開を目指す中小企業にとって、絶好のチャンスとなります。
しかし、手続きや内容に不備があると不正受給となってしまう可能性があります!
今回は会計検査院が指摘をした不正受給について詳しく解説していきます!
IT導入補助金とは?
中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。
具体的には、
・会計ソフト
・経営管理システム
・電子カルテ
・券売機
などを導入する際の費用の一部を負担する補助金です。
どのような不正が指摘された?
補助金を交付した9万9908社から376社の445案件を抜き出し、会計検査院が利用実態などを検査したところ、
キックバックなど計1億4755万円の不正受給が見つかりました。
このほか、ITツール導入による生産性向上の効果把握の不備なども含めると不適切な支出は約9.5億円に上ります。
補助金事務局は、不正調査を進めており、関与した中小企業などに返還を呼び掛けています。
今回の不正受給の多くは、中小企業に対して補助対象となるITツールを販売し
導入を手助けする「IT導入支援事業者」と呼ぶ登録済みのITベンダーが関与しています。
「実質ゼロ円で導入できます」など不自然な導入スキームを持ちかけ、ITツールの販売先を開拓しており、
キックバックに関与したベンダーは15社に上ります。
15社が関与したのは1978事業(補助金交付額58億2891万円相当)に上り、事務局は引き続き調査を続けています。
会計検査院が指摘したことは?
①キックバックや虚偽申請による不正受給
IT導入支援事業者やその関係会社等から資金の還流を受けるなどして、
中小企業などの自己負担額を減額または無償、もしくは自己負担額を上回る不当な利益を得ていました。
キックバック以外にも、虚偽申請、第三者申請による不正によりIT導入補助金が過大に交付されていました。
②ITツールの解約状況を正確に把握できていない
IT導入補助金を使ってITツールを導入後、途中で解約した場合は、事務局に対して辞退届を提出し、補助金の交付取り消しや一部返還などが必要になります。
しかし、ITツールを解約しているのに辞退届が未提出など、会計検査院は1094万円分を不当事項として指摘しています。
③不正防止対策が不十分
IT導入支援事業者の確認を経ていることから申請内容は基本的に正しいという前提で審査していたため、虚偽申請を検知できていませんでした。
また、確認検査の際に必要に応じて実施する現地調査において、ITツールの実際の機能等や価格の妥当性について、
現物を取り寄せることや市場価格の調査をしていなかったため、キックバックを検知できませんでした。
中小機構も事務局(サービスデザイン推進協議会やTOPPAN)も、コールセンターの通報等から不正の疑義を把握していたはずなのに、
今回の不正が判明するまで一度も立入調査を実施していませんでした。
④生産性向上の効果把握に不備
交付申請の時に、ITツール導入後3年間の生産性関連情報の計画値を設定し、効果報告の際に実績を報告することになっています。
しかし、報告が必要な事業者の約80%で数値の不備が判明しました。
さらに、生産性向上の目標を達成したと報告していたもののなかにも、未達成の事業者が多数含まれていたことが判明しました。
企業が準備していくこと
これからIT導入補助金を活用しようと考えている事業者の方は、不備なく申請をしてこのような指摘を受けないために、以下のことを意識していきましょう。
①申請の手引きをしっかり確認することで、辞退届などの提出漏れなどを防ぐ。
②ITツール導入後の3年間の生産性等、今後の生産性関連情報の計画値を算出する。
③自社での申請が難しい場合は、信用できる申請代行サービスを利用する
最後に
今回はIT導入補助金で起こった不正受給についてご紹介しました。
不正受給が発覚すると補助金の返還や、詐欺罪として刑事罰を受ける可能性があります。
これから申請を行う企業の皆様は、要件をしっかりと確認してから申請に臨みましょう!
申請をご検討中のみなさまはぜひ一度サポート行政書士法人へご相談ください!
※この記事は2024年11月時点での情報を基にしています。申請時期や補助内容に変更がある場合がありますので、ご注意ください。
補助金内容によっては弊社で対応できない場合もあるのであらかじめご了承ください。